遺伝子操作なしで「テロメア」の長さが2倍に!
そして今回、いかなる遺伝子操作を用いることなく、テロメアの長さを延ばす方法が見つかりました。
研究チームは、ペトリ皿に幹細胞を放置し、それ自身で分裂増殖させたとき、通常の2倍の長さを持つテロメアが自然にできることを発見。さらに、これと同じ現象がマウスの胚細胞にも応用可能だと判明しました。
この胚細胞を通常の初期胚に注入し、2倍の長さのテロメアを持つマウスをつくります。その結果、新たに誕生したマウスは、他と比べて平均寿命が12.74%も長くなっていたのです。
それだけに留まらず、マウスは悪玉コレステロールの数値も低く、老化に伴う悪性腫瘍の発生率が通常マウスより20%も下がっていることが判明しています。
テロメアが長いということは、例えるなら生まれたときからライフポイントが他の仲間より多いということです。
研究チームのマリア・ブラスコ氏は「同じ方法をいますぐヒトに応用することは不可能ですが、遺伝子操作しなくても、生命には寿命が延びる余地が十分に残されている」と指摘しました。
また、テロメアに関する研究では、他に「テロメラーゼ」と呼ばれる酵素を用いて、テロメアを活性化させたままにする方法も模索されています。これが実現すると、身体の老化も止まるため、さらに不老不死へと近づくことになるでしょう。
しかし、これには大きな危険も伴います。
というのも、身体は死ぬまで細胞分裂を繰り返しますが、脳は早い段階で分裂をストップします。つまり、身体の老化を止めることができても、脳の老化は止められないのです。
この問題を克服しない限り、見た目だけ若い植物人間のような人類が…という恐ろしい事態に陥る可能性もあるかもしれません。