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勉強は色々な環境でやろう。記憶が蘇るメカニズムから、有効な暗記術が明らかに

2019.11.02 Saturday

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©1991 岡本螢・刀根夕子・GNH

Point
■「文脈的結合理論」は記憶が覚えたときの気分や感情など精神状況と結びついていると考えている

■思い出の場所で記憶がよみがえるのは、当時の感情が景色から想起され、それが具体的エピソードを検索するため

■このメカニズムでは、試験勉強を短時間に繰り返し行うより、様々な環境で行う方が有利になると説明している

記憶とは時間がたつほどに薄れていくものです。

しかし、故郷に帰ったときや、思い出深い場所へ久々に訪れたとき、遠い過去の記憶がふっとよみがえってくることがあります。

最新の研究では、記憶がどのような文脈によって作られたかということが、後で思い出す際に重要な要因になっていると報告しています。

ここでいう文脈とは、物理的な場所のことではなく、それを体験した瞬間の思考や感情を含めた精神的活動の全てを指します。

これは「文脈的結合理論」と言われていて、このメカニズムを利用すれば覚えたことを思い出しやすくするための条件も明らかにできるというのです。

試験会場で勉強したことを思い出しやすくするためには、どうすれば良いのでしょうか?

この研究は、カルフォルニア大学の神経学者Andrew氏を筆頭とした研究チームより発表され、神経科学の学術誌『Nature Reviews Neuroscience』に掲載されています。

A contextual binding theory of episodic memory: systems consolidation reconsidered
https://www.nature.com/articles/s41583-019-0150-4

記憶のGoogle検索

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Credit:Google

通常の記憶の原理では、ある出来事AとBが同時に起こったとき、それらを関連付けて記憶されると説明されています。

しかし、文脈的結合理論ではさらに一歩進んで、AとBは互いに関連するだけではなく、それが起こった文脈と関連するものとして記憶されるというのです。

文脈とは、体験をした瞬間の精神状態を指しており、この理論によると記憶は気分や感情を含めた精神状態ごとに関連付けられて記録されていることになるのです。

文脈が類似した状況は記憶検索において重要となります。脳の記憶検索はGoogle検索のように、関連性の近いものを引っ張り出してきます。精神的な文脈は検索語として脳内で機能します。それにより、現在の自分の精神状態に近い時の記憶が優先的に探し出されるのです。

単純な理屈ですが、これはかなり意義深い機構です。

人の精神的な状況は常に変化しています。最近の記憶は現在の精神状況と近い状態にあるといえるので、結果的に最近の出来事は思い出しやすく、古い記憶は思い出すことが困難になります。

大人になると子供の頃の記憶を容易に思い出せなくなるのはこのためです。

しかし、古い記憶も消えるわけではありません。もしずっと昔の頃の自分の感情や精神状況を思い出したなら、その文脈に応じて古い記憶も引き出されます。

昔通っていた小学校の前を通り過ぎたりすると、子供の頃の記憶がよみがえってくるのはこのためです。

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