高速移動の時は縞模様が最強
一方で、真ん中の画像の縞模様の昆虫の場合、ノロノロと移動している時はかなり目立ちます。むしろ「気づいてくれ」と言わんばかりの目立ち様です。
ところが、十分な速度をもって移動する時、縞模様の昆虫は無地の灰色の昆虫と同程度に上手く身体を隠すことができました。
移動中は縞模様がかすみ、まるで無地の灰色のように見えるからです。高速で移動する時に限っては、背景と同じまだら模様を持つ昆虫よりも、縞模様を持つ昆虫の方がむしろ効果的に身体を背景に溶け込ませることができるようです。
このように、十分な速度で移動する場合、抜群のカモフラージュ効果を発揮する縞模様ですが、他の理由で縞模様を活用している生物もいます。
たとえば、ミツバチが持つ黄色と黒の縞模様は、鳥に自分を食べるのは危険だということを警告すると同時に、移動中に待ち伏せしているカマキリから身を守るものでもあります。まさに一石二鳥の理にかなった模様なのです。
移動中に捕食者の目を逃れるコツは、素早く移動することと、動きにうまく溶け込むカモフラージュを上手く利用することの2点にあります。生物が持つ鱗・羽・皮の模様が驚くべき多様性に満ちている理由が分かりますね。