- エジプト北部にあるサッカラで、生後8ヶ月のメス・ライオンのミイラが発見される
- 調査の結果、埋葬された時代は、紀元前7世紀ころの古代エジプト第26王朝時代に当たることが判明
エジプトのカリド・エル・アナニ考古相は23日、古代の埋葬地として知られるサッカラ(エジプト北部)にて、ライオンのミイラが発見されたと発表しました。
同国ではこれまで、ネコやコブラ、ワニ、スカラベなどのミイラが出土していますが、ライオンは国内でも初めてとのことです。
調査の結果、ライオンのミイラが埋葬されたのは、約2600年前の古代エジプト第26王朝時代(BC7世紀ころ)であることが判明。ライオンの発見により、当時の人々が信仰していた宗教や慣習が明らかになろうとしています。
ライオンは生後8ヶ月のメスと判明
ライオンと見られるミイラは、全部で5体発見されています。X線分析の結果、そのうちの2体が、生後8ヶ月くらいのメス・ライオン(全長1m)であることが判明しました。
あとの3体は、ライオンよりもチーターやヒョウ、あるいは大型のネコである可能性が高いようです。また、ライオンのミイラには象形文字と見られる装飾が施されていました。
今回は、ライオンの他に小型のネコのミイラも20体ほど出土しています。
さらに、木製と銅製のネコ像が75体、冥界の神オシリスの銅像が73体、戦いと医術の女神セクメトの像が11体、他にも牛神アピスやアヌビス神、マングース、トキ、ハヤブサの像が多数見つかりました。
これを受け、アナニ考古相は「博物館が一つ分が見つかったほどの数に相当する」と話しています。
Egypt unveiled a cache of 75 wooden and bronze statues and five lion cub mummies decorated with hieroglyphics at the Saqqara necropolis near the Giza pyramids in Cairo https://t.co/YXYPw7f0Ex
? @khaled_desouki pic.twitter.com/0oztWDVJut
— AFP news agency (@AFP) November 23, 2019
ミイラや出土品はすべて、ネコの女神バステトを祭る神殿跡の下から発見されました。
バステトの息子がライオンの神ミーシスであることも考えると、当時のエジプト人は、ネコとライオンを強く信仰していたことがうかがえます。
アナニ考古相は、「ミイラや出土品に関する今後の分析調査で、当時の宗教的な慣習がさらに明らかになるでしょう。この発見を機に、現在、政治不安などで打撃を受けている観光業の再興に努めたい」と話しました。
5000年もの昔に始まった古代エジプト文明。まだまだ、多くの謎と財宝を隠し持っていそうですね。