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液体が生み出す一瞬の芸術!流体力学が生み出す不思議な映像世界

2019.12.02 Monday

Credit:G. Durey et al./The Lutetium Project/ESPCI Paris/APS Physics

米国シアトルで11月23日〜26日に開催された、第72回米国物理学会 流体力学部門 年次大会では、流体運動の作り出す美しいビデオクリップのギャラリーが公開されています。

流体運動といえば「はごろもフーズ」しか知らないという人も多いかもしれませんが、流体運動は不思議で美しい様々な映像を作り出してくれます。

その美しい映像の裏には科学的な原理も潜んでいます。この機会に流体の生み出す魅力的な映像世界を見ていきましょう。

2019 APS/DFD Milton van Dyke Award Winners (Video)
https://gfm.aps.org/

蒸発する塩水

Credit:S. McBride et al./MIT/APS Physics

これは超疎水性の素材表面に置かれた、塩水の液滴が蒸発する様子を撮影したもの

超疎水性は、自然界でもっとも水を弾く性質のことです。超疎水性表面はナノスケールで非常に鋭い表面を持っており、常に空気の層に覆われています。それが水の表面張力を増幅させるのです。

この映像は、海水淡水化プラントにおいて、パイプ壁に損傷を与えてしまう塩の堆積問題を研究する過程で撮影されました。超疎水性表面で飽和塩水を蒸発させるとほぼ球形の結晶が形成され、水がほぼ無くなると脚のようなものが成長して、球を表面から持ち上げていきます。

最終的に出来上がる結晶は、ゾウやカニといった動物のような形になります。

超疎水性表面で蒸発した塩水。まるで動物みたいな結晶になる。/Credit:S. McBride et al./MIT/APS Physics

結晶に細い脚ができるのは、水が超疎水性の表面より塩に引き寄せられるためで、表面に僅かに残って接触する水の蒸発が細い脚の結晶を成長させていくことになるのです。

この研究は美しい結晶化の様子を見せるだけでなく、こうした超疎水性表面では塩が張り付かず、剥がれやすい結晶構造を形成する可能性を示していて、船舶などの海水による腐食の予防に役立つと考えられています。

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