ヒゲクジラは「エネルギー効率」がズバ抜けて高い
サイズが大きくなる理論はいたってシンプルです。
消費するカロリーに対し、摂取量が上回れば自然と大きくなります。要するに、エネルギー効率が高いほど巨大化するのです。エネルギー効率とは、投入した熱量に比べて、得られた熱量の割合を指します。
エネルギー効率を調べた大規模研究では、ヒゲクジラとハクジラに属する11種類、およそ300頭のクジラを追跡調査し、5万を越える採餌活動を記録しました。
その結果、エネルギー効率は、ハクジラよりもヒゲクジラの方が圧倒的に高いことが判明しています。
ヒゲクジラの採餌方法は、大口を開けて湧昇域を通過するのがメインです。つまり、狩りの労力が極端に少なく、エネルギーを大量に摂取できます。実際、地球上最大の生物であるシロナガスクジラは、ヒゲクジラ亜目に属します。
一方で、ヒゲクジラの巨大化は、季節ごとに消えたり現れたりする湧昇域によって制限されているようです。
対するハクジラは、イカなどをエサとするため、捜索と狩りに消費されるエネルギーがヒゲクジラより多いのです。しかも、十分な大きさのエサや安定したエサ場の欠如により、エネルギー効率は低下します。
それゆえ、ハクジラ最大のマッコウクジラ以上には大きくならないのです。
しかし、クジラの巨大化については、まだ多くの謎が残されています。クジラが真に巨大化し始めたのはここ500万年のこと。
専門家によれば、現在も巨大化の最中にある可能性は十分にあるようです。