- 新しい3D プリント技術により、本物と同じ機能をもつ肝臓を作り出すことに成功した
- わずか90日間で、拒否反応ゼロの肝臓を作りだすことができる
臓器移植は深刻な病気を抱えている人たちにとって希望となってきました。しかし、ドナー待ちや拒絶反応の問題に悩まされてきたのも事実です。
最近になって、それらの問題すべてを解決するかもしれない驚くべき技術が発見されました。
サンパウロ大学が主催するヒトゲノム・幹細胞研究センター(HUG-CELL)は、3Dバイオプリンタ―により本物と同じ働きをするミニ肝臓を作ることに成功。拒否反応もないようです。
研究の詳細はIPO SCIENCE誌に11月27日に掲載されました。
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1758-5090/ab4a30
「臓器の機能維持」への挑戦
以前からバイオプリンタ―技術による肝臓作成の研究は行われていましたが、作成した臓器の機能を保つことは出来ていませんでした。
臓器が機能を果たすためには、「細胞のグループ化」が必須です。個々の細胞がただ働いているだけでなく、互いに協力して働かなければいけません。
バイオプリンタ―で臓器を生成するということは、「個々の細胞をひとつずつ作り上げる」ということです。しかし、それだけでは臓器というよりも細胞の集まりです。それらの細胞をグループ化させてはじめて臓器として働き出すのです。
これまでの研究では、グループ化させ、実際に臓器として働き出すまでは成功していました。しかし、グループ化させた細胞たちは、次第に細胞間のコネクションが失われていき、臓器としての機能を維持することができていませんでした。個々に作った細胞はやはり個々なのです。
通常、バイオプリンタ―で肝臓を作り出すには、分化、プリント、成熟という3段階のプロセスがあります。長時間かけて実験を続けても、成熟段階における機能維持に失敗し続けてきたのです。