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原子が結合して分子になる様子を「動画」で撮影することに成功 (2/2)

2020.01.20 Monday

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原子の結合と離散

カーボンナノチューブ内で2つのレニウム原子が結合する様子を撮影した映像。/Credit:University of Nottingham

研究チームは電子ビームを原子の位置の特定や画像化に利用するだけでなく、原子にエネルギーを与えて化学反応を活性化させるためにも利用しています。

今回の結合する原子の撮影は、チームがこれまでの研究で培ってきた豊富な電子ビームの技術によって成し遂げられています。

原子を撮影すること自体はこれまでも行われてきました。今回の研究で重要な点は、リアルタイムで時空間的な連続性を保ちながらその様子を撮影できたということです。

動画では原子間の結合の様子がはっきりと映っています。原子は移動しながら結合長を変化させていて、周囲の環境に応じて結合が強くなったり弱くなったりしています。

Aの赤枠の状態を色強調した画像(B)とRe原子の状態(C)/Credit:Kecheng et al., 2020/DOI: 10.1126/sciadv.aay5849

ここでは、Re原子は結合したあと、振動しながら楕円形に歪んで結合を引き伸ばしています。結合長がそれぞれの原子半径の合計を超えると、結合が切断され振動が止まり、互いに独立した原子になりますが、その後距離が縮まるとまた結合してRe2分子を形成しています。

原子同士がくっついて分子を形成するのは、原子の最外殻にある電子が余ってしまうことで不安定になっているためです。

原子はエネルギーが低く、電気的に中性な安定した状態を好みます。

窒素結合のアニメーションイメージ。/Credit.ViCOLLA Magazine,© 2018 ViCOLLA Magazine.

原子の結合は最外殻の電子が、どの軌道にいくつ余っているかで、結合の仕方が変わります。上の図は窒素の結合ですが、窒素は3つの電子がそれぞれ余っていて3重結合を起こします。

今回の研究で使われたレニウムは遷移元素といって、この結合に関与する電子の数が状況によって変化してしまい、単結合から5重結合まで起こす少し特殊な元素です。

こうした元素の結合は特に理解が難しいものです。今回撮影された映像はレニウム原子の4重結合が映されているそうですが、こうした様子を視覚的に観察することは、このわかりにくい結合を理解するための新しい重要な洞察を提供しているのです。

かつでは見ることもできず、存在も信じられていなかった原子。それが結合する様子さえリアルタイムに観察して動画で撮影できるようになったというのは、とてつもない進歩です。

難しい物理現象についても、様々なわかりやすいイメージ解説が作られていますが、やっぱり最後はちゃんと目で見て理解したいですね。

「ヒトの細胞のような太陽」が話題に

reference: ノッティンガム大学,phys/ written by KAIN

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