- 太陽系の惑星は、火星より内側は地球を始めとした岩石惑星、外側は木星土星などの巨大ガス惑星と二分される
- この原因は木星の重力にあるとされていたが、新しい研究では初期太陽系を取り巻く円盤に分裂があったためと主張している
- ALMA望遠鏡の観測では、これは遠く離れた若い恒星系の円盤にも見られる特徴
太陽系には、地球のような岩石惑星と木星のようなガス惑星が存在しますが、この特性は火星と木星を境にして綺麗に二分されています。
この境界は単純な構造の問題だけでなく、太陽に対して火星より外側では炭素化合物(有機物)が豊富であり、火星より内側では少ないという材料の違いにも現れています。
惑星を作り出す材料は、一体なぜ混ざり合わずに綺麗に別れたのでしょうか?
この問題について、初期太陽系を取り巻いていた塵とガスの円盤は一様に繋がったものではなく、大きく分裂した構造をしていたという説が登場しました。
この研究論文は、日本の東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)のR. Brasser氏と米国コロラド大学ボルダー校のS. J. Mojzsis氏により発表され、1月13日付けで天文学の科学雑誌『Nature Astronomy』に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0978-6
惑星構造の謎
地球や火星は岩石主体の岩石惑星で、炭素化合物が比較的少なめです。一方、木星や土星は巨大ガス惑星という分類になり、ガスが主体で炭素化合物が多い惑星です。
普段太陽系の惑星の話を聞いても、「なぜ同じ星系の惑星でこんなに構造が違うのだろう?」と疑問を感じていた人は多いでしょう。
この構造の違いについては、「初期太陽系において、巨大な木星の重力が外からやって来る物質を引き寄せてしまい、火星より内側へ入ることを拒んでいたから」だと考えられていました。
しかし今回の研究者たちは、初期太陽系のシミュレーションを行った結果、木星がそこまでの影響力を持つほど巨大ではなかったという結果を得たと報告しているのです。
木星の重力が太陽系の惑星構造を二分する原因でなかったとすると、そこには別の原因が存在することになります。一体なぜ太陽系の惑星は、太陽からの距離によって構造が分かれたのでしょうか?