
- ハワイの天文台で、これまでで最高精度の太陽表面の映像が撮影された
- 太陽表面の対流するプラズマの観測は太陽系の天気予報に必須である
映像は、アメリカ国立科学財団のイノウエ太陽望遠鏡によって撮影された、これまでで最高解像度の太陽表面の様子です。
この細胞のような小さな枠の中身は、太陽内部からの上昇気流によって生まれたプラズマの塊で、それぞれの枠の面積は日本の総面積の1.8倍ほど。日本の1.8倍あるテキサス州と同程度の広さがあります。
吹き上がるプラズマの上昇気流は、それぞれの枠の明るい中央部で最高高度に達し、その後、周囲に向けて沈むにつれて冷却され、枠を囲む暗い輪郭を形成します。
鍋の中で沸騰するお湯のアブクがプラズマに置き換わったと考えると、わかりやすいかもしれません。
観測はハワイのマウイ島にある、イノウエ太陽望遠鏡を管理するNSF(National Science Eoundation)の研究者によって行われ、1月29日に観測結果が発表されました。
https://www.nso.edu/press-release/inouye-solar-telescope-first-light/
太陽風を予測することで、太陽系の天気予報が可能になる

太陽の表面(プラズマの流れ)を詳細に観察できるようになったことは、太陽風の発生の予報にとって、とても重要です。
対流するプラズマの運動エネルギーは磁気エネルギーを生み出し、太陽の磁場をねじり、もつれさせます。
そして磁場がねじれると太陽風が発生します。
太陽風は太陽から発せられる強いエネルギー(電磁波、磁力線、粒子など)であり、強い太陽風が吹く太陽嵐の場合(太陽フレアが原因で発生する爆発的な太陽風の場合)、地球上の電力網や衛星通信のシステムに障害を与えることが知られています。
歴史的には、1859年に起きた強い太陽風が大規模な磁気嵐を引き起こし、まだ普及途中であった世界中の電信機器の回路をショートさせ、火災を発生させました。
もし今、1859年と同レベルの特大の太陽風 が発生すれば、世界中の変圧器が破壊されて電力網がマヒし、衛星通信に障害が起こり、飛行中の飛行機のコンピューターも破壊され、多くの損害が発生するでしょう。
また変圧器を新たに工場で製造しようにも、工場の電力が失われているために、復旧には数年〜10年もの期間がかかると予想されており、その間、文明は電気の普及していない19世紀初頭まで後退すると予想されます。
NSFのイノウエ太陽望遠鏡は単純な光学的な望遠機能だけでなく、プラズマの対流が生み出す磁場や、太陽のコロナ内の磁場を測定して、マッピングすることもできます。
プラズマの動きやコロナの磁場を正確に把握できれば、破壊的な太陽風の発生するタイミングや規模を予測でき、防護手段をとる時間的な猶予がもてます。
NSFのディレクター、フランス・コルドバ氏は「太陽系の天気予報が可能になる」と述べています。