騒音に包まれた地球
光と異なり音の伝わる速度は非常に低速で、秒速340メートルしかありません。
太陽で発せられた光が地球に届くには約8分かかりますが、太陽の音が地球に届くまでには、実に14年近い時間がかかる計算になります。
そんなに音は持続するのか? と疑問に感じる人もいるでしょう。
確かに、もう少し突っ込んで考えた場合、音は大気などの媒体を伝わるため、移動距離に応じて減衰していきます。
非常に低音ならかなりの長距離を伝わる可能性はありますが、太陽の音はほとんどがコロナの外側まで響くことなく吸収され、熱に変換されてしまうと考えられます。
今回のシミュレーションは、もし宇宙で音が伝わり、さらに媒体に吸収されることがほとんどなければという仮定の話になります。
しかし、もしそうやって太陽の騒音が地球に響いていた場合、地球上の生命は聴覚が発達しなかった可能性が高いと考えられます。
絶え間ない轟音の中で進化した生物は、有用な音がまったく聞き取れない可能性が高く、聴覚はあっても役に立たないか、まったく異なる用途の器官になっていたかもしれません。
そうなると、鳴き声などの器官も異なる進化を辿ることになり、もはや生物自体が現在とは全然別物になっているかもしれません。
そう考えると、宇宙に音が響かなくてよかったと思えてきますね。