
- 初めての場所で寝ると、脳の半分が覚醒した状態になる
- 脳の半覚醒状態は、動物にもみられる保護メカニズムの1つである
- ぐっすり寝るためには、環境に「慣れる」ことが大切
ホテルや友人のベッドで寝た時、睡眠不足や気怠さを経験した人も多いのではないでしょうか。
初めての場所で寝る時、多くの人の睡眠は浅くなるものです。原因は、脳の半分が覚醒した状態で寝てしまうことにあるのです。
この睡眠中の半覚醒現象は、ブラウン大学の睡眠科学者である玉置應子氏らによって2016年に明らかされています。
彼女たちの研究の詳細は「Current Biology」誌に掲載されています。
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(16)30174-9#
初夜効果によって脳の半分は覚醒している

睡眠学者たちは、人間が初めての場所で寝る時の影響を初夜効果(the first-night effect:FNF)と呼んでいます。
初夜効果は通常の睡眠障害とされてきましたが、その仕組みは完全に把握されていませんでした。
それゆえ、睡眠学者の玉置應子氏はら初夜効果の原因を探るために、高度な神経画像技術を使用して初夜効果があらわれる時の脳の状態を調べました。
調査の結果、人が初めての場所で寝る時には、脳の睡眠活動が非対称パターンを示すことが分かりました。
片方の脳は寝ているのですが、もう片方の脳は覚醒状態だったのです。
もちろん、覚醒している方の脳も完全に目覚めているわけではありません。それでも、寝ている状態の脳よりははるかに活発であり、外部刺激に反応していました。
実際に、初夜効果の影響を受けている人は、ちょっとした音で目を覚ました。軋むドアの音や遠くで鳴いている動物の声などに反応したのです。