人間は初めての場所ではサバイバルモードになる?

人間が初夜効果によって半覚醒状態になるのは、見知らぬ状況で危険を避けるためだと思われます。
脳の半分を覚醒させておくことで、外敵の接近に敏感になれます。脳がサバイバルモードに移行した状態だと言えるでしょう。
このような保護メカニズムは、動物界の他の生き物にも見られます。
海を漂流するクジラとイルカは、睡眠中は無防備になります。そのため、外敵から不意打ちを受けないためにも、脳の半分だけを休息させているのです。
論文の共著者である佐々木由香氏は、「私たちの脳には、くじらやイルカが持っているもののミニチュアシステムがあるかもしれません」と述べています。
彼女たちの研究で得た知識を活用するなら、初夜効果をオフにすることも可能かもしれません。佐々木氏によると「人間の脳は非常に柔軟です」とのこと。
彼女の述べた通り、初夜効果は脳の認識によって生まれるものです。
初めての場所であっても、2日目からは症状が緩和されます。つまり、初夜効果を受けないためのポイントは、自分がその場所に「慣れる」ことなのでしょう。

実際に、仕事でたくさん旅行している人たちは、初夜でもぐっすり寝るためのコツを持っているようです。
例えば、ある男性はホテルに着いた後、ホテル内を探索するようにしています。駐車場の周りを歩き、自動販売機を見つけ、朝食がどこで食べられるか調べます。
自分が滞在する場所を把握し、十分慣れることで、初夜効果を引き起こさずにぐっすり眠れるようにするのです。
また、他の人は旅行するたびに同じホテルブランドに宿泊するようにします。どんな旅行先でも、慣れ親しんだ雰囲気の中で寝るためです。
せっかくの旅行で半覚醒になってしまい、頭が冴えない状態が続くのはもったいないでしょう。。就寝前には、環境に慣れておくことで上手に対処できるかもしれません。