
・車やトラックの「低周波振動」は人に眠気をもたらす
・脳が振動に同調し、睡眠初期の状態が導かれている可能性
運転席であれ助手席であれ、車の中で睡魔に襲われた経験がある人は多いのではないでしょうか。どうやらそれは、単なる「疲れ」や「カフェイン不足」が原因ではないようです。
ロイヤルメルボルン工科大学の研究により、車の「振動」が、たったの15分間で人に「眠気」をもたらしてしまうことが分かりました。
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00140139.2018.1482373
研究では、車やトラックがもたらす「安定した低周波の振動」により、たとえ健康で十分に休みをとった人であっても「眠気」を感じてしまうことが明らかにされました。これは、自動車メーカーや交通安全の専門家が知っておくべき事実でしょう。
では、車はどのようにして私達に眠気をもたらすのでしょうか?
研究者らは、15名のボランティア被験者に異なる振動を体験できるドライブ・シミュレーションを実施してもらいました。
1回60分のシミュレーションは、「振動なし」と「4.7キロヘルツの低周波振動」の2回にわたって行なわれました。そして、その際の被験者の「心拍数の変化」を計測。心拍数の変化は「疲れ」や「眠気」を測ることができる尺度として知られています。
実験の結果、「低周波振動」のシミュレーションの際の被験者において、実験開始の15分後には眠気が表れはじめ、平均して30分後には、被験者たちはかなりの眠気に襲われていました。そして、60分後の実験終了までその「眠気」は増していく一方であることが確認されました。

どうしてそのような振動が人に「眠気」をもたらすのでしょうか?
研究者たちは「脳が振動に同調し、睡眠初期の状態を作り出す手助けをしているため」だと考ているようです。
この事実により、メーカーがシートのデザインを変更するなどして「振動」を最小限に抑える必要があるでしょう。しかし、そのような企業努力の有無にかかわらず、自動運転車が道路を支配するその日まで、当然ながら私たちは運転席で安眠することは許されていません。
研究では、逆に人が「眠りにくい」周波数の振動も提示されています。そのことも含め、研究者たちはこの分野のさらなる研究に意欲を燃やしているようです。
via: sciencealert / translated & text by なかしー