生物の定義は曖昧になった
近年の研究で、膨大な遺伝子に加え免疫能力すら持つ「生命のようなウイルス」がいる一方で、単独では自己複製すらできない「ウイルスのような細菌」がいることが分かってきました。
巨大ファージはバクテリアの遺伝子と免疫力を備え、普通のウイルスとは異なり、バクテリアの外部遺伝子貯蔵庫として機能しています。
また巨大ファージの感染は、抗生物質に対する耐性をバクテリアの中に拡散するのにも役立っていると考えられます。
巨大ファージは感染によって、バクテリアと複雑な共生関係を築いている可能性もあるでしょう。
一方で、カルソネラのように、代謝能力も自己複製能力も失い、生物の定義から離れていく細菌も存在しています。
巨大ファージやカルソネラの存在は、既存の生命の定義をどんどん曖昧にしています。
何を生命として尊び、何を非生命として利用するかの倫理も、考え直す必要があるかもしれません。