不思議な形状はどのように生まれたのか?
アロコスの表面は赤みがかった色をしていますが、これは有機分子(炭素化合物)のソリンが含まれているためと考えられています。
また、より単純な有機分子であるメタノール氷が豊富に存在し、水氷はほとんどありません。
この有機分子がどこからもたらされたものなのかは、現在も議論の続くものですが、アロコスは2つの微惑星が結合しているにも関わらず、その表面組成は均一です。
惑星の形成過程には、複数の小さな構造がぶつかり合って結合し、より大きな構造を作るという「階層的構造形成モデル」が支持されています。
もし遠く離れた分子雲の中で別々に誕生した微惑星が、勢いよく飛来してぶつかりあって混ざるならば、アロコスの雪だるまのような身体と頭では、組成が異なるはずです。
そのためアロコスは、分子雲の重力崩壊によって、近くの材料から形成されたオブジェクトであると考えられるのです。
分子雲の重力崩壊モデルは、分子雲内の密度差によって生まれた重力で物質が集まっていき、最後に重力崩壊を起こして天体が生まれるという考え方です。
この場合、2つの微惑星は比較的近くにあって、ほとんど動くことなく静かに結合したと予想されます。
これはアロコスが惑星形成時代の終わりから、ほぼ変わることなく表面の状態を保存していることを示しています。
こうした新しい発見は、微惑星が分子雲の重力崩壊により形成されたことを支持すると共に、惑星形成の過程についても新しい洞察をもたらしてくれるかもしれません。
探査機ニューホライズンは現在、地球から71億キロメートル離れたカイパーベルトの中を、より深部を目指して時速50,400キロメートルという速度で進んでいます。
もし燃料に余裕があれば、さらに新しいカイパーベルトオブジェクトを探したいと研究チームは語っています。