明らかになる隕石落下直後の世界
巨大隕石が衝突した際、隕石に含まれていたCO2や三酸化硫黄は高温に加熱され、硫酸エアロゾルを形成したと考えられます。
これは大気中で雨水に溶けて、激しい硫酸の雨を降らせました。
また、飛び散った隕石の破砕岩片は、地上に降り注いだ際、空気の断熱圧縮という現象で加熱されて、一酸化窒素を生成しました。
これは最終的に硝酸エアロゾルとなり、これも激しい硝酸の雨となって地上に降り注いだと考えられます。
これらの激しい酸性雨が、地上の銀や銅を溶かして河川を通じて海に流れ出し、今回検出された高濃度の銀・銅粒子を形成したのです。
これが海洋の環境にも影響を与え、海に住む恐竜やアンモナイトなどの絶滅にも関与したのでしょう。
研究者たちは、今回の発見から、他の地域のK-Pg境界層試料を分析することで、この時期に発生した酸性雨の規模や継続時間まで、定量的に明らかにできるだろうと考えています。
現代でもたびたび環境問題にあがる酸性雨ですが、恐竜の絶滅にも関連していたのは確かなようです。
地球規模で激しい酸性雨にさらされた世界とは、想像すると恐ろしいですね。