超大型望遠鏡が明らかにした不思議な天候
通常惑星は暗くて詳しいことがよくわかりませんが、太陽に近いこの惑星では、外層大気を透過した光が惑星外縁の状態を明らかにしてくれます。
今回の研究では、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するチリの超大型望遠鏡VLTが利用されました。
VLTは口径8.2メートルの大型望遠鏡4台の総称です。この4つの望遠鏡が捉えた光を統合することで、VLTは実質口径130メートルという超大型望遠鏡として機能します。
その光の統合を行っているのが、ESPRESSO(エスプレッソ)分光計で、今回「Wasp-76b」の化学的性質を捉えることに成功しました。
それによると、「Wasp-76b」は昼と夜で化学的な性質が異なっているというのです。
この惑星では夕暮れの領域に強い鉄の蒸気が確認されますが、朝方の領域には鉄の蒸気は確認できなかったのです。
この原因を研究者たちは次のように考えています。
この惑星では、昼側の「高温で蒸発した鉄」が、惑星の回転と大気の流動によって冷えた夜側に送り込まれます。そしてこれによる鉄の蒸気は夜側の領域で凝縮され、夕暮れの境界地域から夜の領域に鉄の雨を降らせます。
このため朝方の領域では、鉄の蒸気が確認できないのです。