宇宙にはどれほどの銀河が存在するのか、その正確な数は誰にも分かりません。
専門家の話では、「少なくとも2兆個は存在する」とも言われます。それだけ数があるので、銀河の形もさまざまです。
中でも今、研究者の注目を集めているのが「羊毛状渦巻銀河(Flocculent spiral galaxy)」です。
この銀河は、渦巻銀河に属していながら、渦巻き部分(渦状腕)が不連続で、繋がっていません。そのもこもことした見た目から、羊毛(Flocculent)と呼ばれています。
この銀河は、渦巻銀河の形成メカニズムを解明する上で大きな存在なのです。
羊毛状渦巻銀河の「NGC 4237」
「NGC 4237」は、現在、羊毛状渦巻銀河の筆頭として観測が進められています。
こちらはハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像です。
NGC 4237は、かみのけ座の方角に6000万光年ほど離れた場所に位置しています。最初の発見は、1783年12月30日のことで、著名な天文学者のウィリアム・ハーシェル(1738-1822)によって発見されました。
画像では、羊毛状の渦巻きが強く目を引きますが、研究者が注目しているのは、中心部で発光しているバルジの方です。
バルジは、渦巻銀河に特有のもので、年老いた恒星が数多く集まっていると考えられています。また、銀河にはそれぞれ、中心部に超巨大なブラックホールが存在すると言われているため、バルジは最も重要な研究対象です。
研究者たちは、バルジの仕組みを解明することで、渦巻銀河の進化・形成プロセスや超巨大ブラックホールの成長過程を知ることができると考えています。
特に、NGC 4237のような特異な銀河が持つバルジは、通常の渦巻銀河のそれとどう違うのかという点でも解明が急がれています。