現在、世界には1億を越える地雷が埋められています。
さらに、年間1000万個の地雷が生産されており、備蓄だけですでに1億個はあると言われています。撤去作業は常に命がけです。
1975年以降、一般市民も含め、100万人以上が死亡、または四肢欠損などの重傷を負っています。地雷を安全に撤去する試みとして、犬やマウスを使った地雷探知の方法が模索されてきました。
しかし、命を危険にさらすことに変わりありませんし、訓練期間や経費などもかさみます。
そんな中、ここ十数年ほどの研究で、「植物」を使った新たな地雷探知法が注目を集めているのです。
地雷に反応して葉っぱが変色する
最初に地雷探知植物が開発されたのは、2004年のこと。
デンマークの企業「Aresa」が、コペンハーゲン大学の協力のもと、地雷に触れると色が変わる植物を遺伝子操作で開発しました。
用いられたのは、「シロイヌナズナ(thale cress)」というアブラナ科の植物です。
具体的には、シロイヌナズナの根っこが、地雷の放つ二酸化窒素を吸収すると、約3〜5週間で葉っぱが緑から赤に変色するのです。
方法としては、上空からシロイヌナズナのタネを散布して、成長するまで放置します。
すると、一面に咲いた花の中で赤色のシロイヌナズナがあれば、その下に地雷が埋められているのが分かるのです。
また、シロイヌナズナは、タネをまいてから花を咲かすまでの期間がわずか6週間と短いことも大きな利点です。
時間もかからず、成長するまで放置しておくだけで、広範囲の探知作業が行えます。
科学アドバイザーとして開発に参加したカーステン・マイヤー氏(コペンハーゲン大学)は「目視で簡単に確認できるので、安全面でも非常に有益でしょう」と話しています。