地球からは満ち欠けする月の姿が見えますが、月から地球を見たらどんなふうに見えるのでしょうか?
元NASAの職員James O’Donoghue氏は、実際のNASAの画像と位置データを使って、月から見た地球と、同時に地球から見た月の状態を高解像度の動画で作成しました。
月と地球は近い天体なので、お互いから見たそれぞれの姿は単純なもののように感じますが、自転速度も異なり太陽に対する位置関係も逆転するため、この動画は意外な驚きに満ちています。
Made in isolation, depicting isolation. Here's how Earth looks from the Moon & how Moon looks from Earth, April 2020: showing accurate phases and rotations. CGI based on real NASA imagery, lunar topography (exaggerated for fun), using NASA data (see it 4K https://t.co/EQ2fdR0u95) pic.twitter.com/YwO6GG5B4D
— Dr James O'Donoghue (@physicsJ) April 19, 2020
満月のとき、地球は新月
これは動画の一部ですが、右が月から見た地球、左が地球から見た月の姿を表現しています。
動画では2020年4月の見え方を正確に再現しています。画像は実際NASAが撮影しているデータを使っていますが、月の地形はビジュアル的な印象を重視して誇張した表現になっています。
真ん中に公転する月と地球の図がありますが、月と地球では太陽の光があたる位置関係が逆転することになります。
このため、地球から見て月が満月のとき、月から見た地球は新月のような状態になるのです。これは月が夜の空にずっとある状態です。逆に月が新月のとき、地球は全体が明るい満月のような状態になります。
このとき月は昼の空にいる状態です。昼間に月が見えたり、夜中なのに月が見えなかったりするのは、こうした公転位置の関係によります。
画像を見ていて気になるのは、月はまったく回っていないのに地球がくるくる回っているところでしょう。
これは、両者の自転速度が異なるためです。
月は地球を回る公転周期と自転周期が完全に一致しているため、常に地球に対して同じ面しか見せていません。
自転と公転が完全に一致するなんて奇跡的、と思ってしまう人もいるかもしれませんが、これはとく珍しい出来事ではなく宇宙ではありふれた現象です。
月以外にも、火星の衛星フォボス・ダイモス、木星の衛星ガリレオなど太陽系内のほとんどの惑星と衛星は自転と公転が同期しています。
月の公転周期は約27日間です。なので月は自転も27日間かけて1回転することになります。しかし、地球は当然1日で1回転なので、月から見た地球は満ち欠けを繰り返す間に27回転することになります。
なので月から見た地球はせわしなく回転して見えるのです。
こうしてみると、月から見た地球の姿を正しく想像することは意外と複雑で難しいことがわかります。
動画の製作者であるO’Donoghue氏は、本物の画像を元にしているとは言え、この動画は位相や回転、角度、サイズの変化を示すために作成したもので現実の映像ではないので注意してほしいと語っています。