アメリカ・フロリダ州のココアビーチにて、お腹がパンパンに膨れ上がったメスのトカゲが発見されました。
研究を行ったフロリダ大学のナタリー・クランチ氏は「最初に見つけたときは、産卵をする直前だと思った」とのこと。
ところがCTスキャンの結果、卵と思い込んでいたものは、実は巨大な便のかたまりだったことが分かりました。
しかも、便は全体重のなんと80パーセントを占めていました。
このような異常な便秘状態に陥った原因は、一体何だったのでしょうか。
お腹が膨れているのに「飢餓状態」?
「ゼンマイトカゲ(Leiocephalus carinatus)」という種に属するこのトカゲは、成体で10センチ程度(尾を含めると20センチを超える)、尾がくるっとカールしているのが特徴です。
もともとバハマやキューバ原産でしたが、フロリダで流行したサトウキビの害虫を駆除する目的で1940年代に持ち込まれました。
クランチ氏は、普段からこうしたフロリダに生息する外来種を研究していますが、パンパンに膨れたトカゲを見つけたときはさすがに驚いたといいます。
トカゲは早速、フロリダ博物館のエドワード・スタンリー館長の協力のもとでCTスキャンされました。
CT画像を見ると、巨大な便が臓器を圧迫しており、胸郭には、心臓や肺、肝臓を収納するためのスペースがほんのわずかしか残されていなかったとのこと。
スタンリー館長は「もともと体の小さいトカゲには、非常に苦しい状態だったでしょう」と話しています。
全身に対する便の比率は、現生生物の最高記録を更新し、ビルマニシキヘビが保持していた比率の6倍を上回っていました。
しかもこの不幸なトカゲは、栄養分がすでに枯渇したかたまりを消化できない上、新たに食事もできないので、大変な飢餓状態に陥っていたのです。
結局トカゲは死亡してしまいましたが、便は解剖で取り除かれました。