- 一般的な銀河形成モデルは、銀河がぶつかり融合して巨大化したと考えている
- しかしアルマ望遠鏡は、ビッグバンから10億年程度という初期宇宙に、巨大な回転銀河を発見した
- 巨大銀河は冷たいガスが降着して形成され、初期宇宙には数多く存在していたと考えられる
天の川銀河のような巨大な銀河は、多くの銀河がぶつかり合って融合し形成されたと考えられています。
この場合、巨大で安定した回転を行う円盤銀河ができるまでは非常に長い時間がかかります。
そのため定説に従えば、初期の宇宙に巨大な安定して回転する銀河はなかったという予測になります。
ところが、大型電波望遠鏡ALMAは、宇宙が現在の10%の年齢でしかなかった頃に巨大な回転円盤銀河が存在していたことを発見したのです。
これは従来の銀河形成モデルに挑戦を投げかける、新たな可能性を示しています。
遠い宇宙の冷たい回転銀河
今回発見されたのは「DLA0817g」という名の銀河で、天文学者アーサー・M・ウォルフの名にちなんでウォルフディスクと呼ばれています。
これは125億光年先という、現在観測されている中でも、もっとも地球から遠い回転円盤銀河です。
ALMAの観測によると、この銀河は私たちの天の川銀河と同様に毎秒272キロメートルの速度で回転しています。
現在の宇宙進化論では、ウォルフディスクのような大質量銀河は、小さな銀河と熱いガスの塊が、何度もぶつかり合い融合し、徐々に成長してできたと考えられています。
そのため、宇宙初期に発見された銀河の多くは一貫して激しい合体を繰り返しており、天文学者Neeleman氏の言葉を借りれば「まるで大破した列車のよう」な状態なのです。
このような熱い銀河形成モデルでは、秩序ある冷たい回転円盤を形成するには60億年以上の時間が必要だったと考えられています。
しかし、ウォルフディスクは現在の宇宙年齢の10%程度しかなかった頃に、すでに形成されていました。
これは別の銀河形成モデルを考慮する必要がでてきます。