遠い宇宙で「普通」の銀河を探す
地球に比較的近い宇宙では、冷たく秩序だった回転をする大きな銀河は簡単に見つかります。
しかし、こうした銀河はそこまで激しい活動をしているわけではないので、宇宙の中では暗い部類の天体です。
125億光年というような、初期宇宙の領域からこのような大人しい普通の銀河を見つけ出すことは非常に困難です。
そのため、これまでは冷たい銀河形成モデルを支えるような発見が報告されてきませんでした。
では、遠い宇宙にある「普通」の銀河ウォルフディスクはどうやって発見されたのでしょうか?
研究者たちが見たのは、より遠い宇宙で輝く宇宙一明るい天体―普通じゃない銀河「クエーサー」の光でした。
クエーサーの光の中には、巨大な銀河を取り囲む水素ガスを通過した際、吸収された痕跡がありました。
天文学者は、はるか遠くの宇宙にある暗い天体の僅かな光を探すのではなく、強力なクエーサーの「吸収」された光を使って、初期宇宙から「普通」の銀河を見つけたのです。
こうしてウォルフディスクは、2017年にALMAによって初めて発見されました。
こうした普通の銀河が遠い宇宙から見つかるということは、初期宇宙に巨大な回転円盤銀河はもっとたくさんあったということです。
高性能な電波望遠鏡ALMAの高度な感度と、天文学者の試行錯誤が、予想外の観測を可能にしている、と研究者は感想を述べています。
この研究は、マックスプランク天文学研究所の研究者Marcel Neeleman氏を筆頭とした研究チームより発表され、論文は権威ある科学雑誌『Nature』に5月20日付で掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2276-y
Wolfe Disk NRAO Press Release from NRAO Outreach on Vimeo.