
- ガラス質火山岩「パーライト」を使用した新しい殺虫スプレーが開発される
- パーライト粒子が脚に付着すると、蚊が脱水症状になり死亡する
- パーライト以外の化学物質は含まれず、人や他の哺乳動物にはまったく無害
マラリアによるアフリカの死亡者数は年間40万人にのぼり、その媒介者である蚊は、世界で最も人を殺している生物です。
現時点での対処法は、殺虫スプレーか、防虫処理された蚊帳が主流になっています。
しかし近年、殺虫剤に使用される「ピレスロイド成分」に蚊が耐性を持つようになり、従来の殺虫スプレーでは効果が薄れつつあるのです。
そこで米・ノースカロライナ州立大学は、複数の研究所と共同して、新しい室内残効性スプレー「イメルガードWP」を開発しました。
このスプレーは、ガラス質火山岩と水を混ぜて作られた斬新な殺虫剤であり、人やその他の哺乳動物にはまったく無害とのことです。
実証テストでは、従来の殺虫スプレーをはるかに上回る効果が証明されています。
蚊が「脱水症状」に陥る
イメルガードWPの主な材料は、ガラス質火山岩の「パーライト」です。
パーライトは、建築材料や庭の土壌添加剤としてよく使われ、工業用の需要が高いことで知られます。
これを粒子状に加工して水を混ぜるだけで、他の化学物質は一切使用しません。安全面やコストパフォーマンス面も非常に高いです。

イメルガードWPは、屋内の壁や天井、屋根裏などに散布して使う、残効性のスプレーです。
その殺虫メカニズムについて、研究チームのウィリアム・レイノルズ氏は、「パーライト粒子が脚に付着することで、蚊が脱水状態に陥る」と説明します。
「蚊は鉱物への嗅覚を持たないため、イメルガードWPを回避できず、付着後、数時間以内に大半の蚊が死亡する」と続けます。