- 山脈の高さを決定する要因が地殻変動なのか、自然の侵食なのかは長い間議論されてきた
- 新たな研究は、プレートのエネルギーと山脈の高さが綺麗に一致することを発見
- 山の高さがプレート境界の強さだけで決まり、地域的な気候の侵食は作用しないことを示した
登山が好きな人は、山の名前を聞けば、まず標高が頭に浮かぶかも知れません。
世界でもっとも高い山は、ヒマラヤ山脈のエベレスト標高8848mですが、アンデス山脈にもチンボラソ山という標高6310mの非常に高い山が存在します。
このような山を特徴づける重要な要素「高さ」は、一体どのように決まるのでしょうか?
地球物理学の分野では、その要因とメカニズムが長年議論されてきました。
1つの要因はプレートの力です。ヒマラヤ山脈もアンデス山脈も、プレート同士の衝突によって大地が盛り上がり生まれています。
しかし、山は地殻変動以外に自然界から様々な侵食を受けています。氷河は侵食の代表的なもので、山の特徴的な地形は侵食によっても生み出されています。
そのため、地域的な気候差も、山脈の高さに関係している可能性があるのです。
そういった複合的な要因を考慮すると、山脈の高さを制御する自然のメカニズムはかなり理解が難しい問題のように思えます。
ところが、新たな研究は、山脈の高さがプレート境界の力だけで決まり、侵食の影響はほぼないと結論づけました。
一体、いかにしてその結論は導かれたのでしょうか?
山脈の形成
山脈は主に2つの地殻プレート同士のぶつかり合いによって、大地が押し上げられて生まれています。
ヒマラヤ山脈は代表的なもので、プレートに乗って移動してきたインド亜大陸がユーラシア大陸にぶつかって形成されました。
日本も多くのプレートが重なりあう場所にあるため、山の多い地形が築かれています。
山脈はプレート境界の押し合いが数百万年の歳月をかけて作り上げているものです。
しかし、山の地形は雨風によって削り取られ、流されてもいます。
山脈の高さは地球内部の地殻変動で決まるのでしょうか? 地表を刻みつける侵食の過程によって決まるのでしょうか?
この問題に決着をつけるために、GFZドイツ地球科学研究センターのArmin Dielforder氏が率いる研究チームは、さまざまなプレート境界の強さを分析しました。
彼らが着目したのは、プレート境界の地下にある熱流です。