「知恵の実の遺伝子」がもたらした別の問題
近年の研究によって、ARHGAP11B遺伝子は、先天的な「知的障害」「統合失調症」「てんかん」などを引き起こすことが知られています。
ARHGAP11B遺伝子は人間の頭部を巨大化(巨頭化)させましたが、大きすぎる脳は自閉症を含む様々な神経障害や行動障害を発生させる要因になりました。
ですが今後、ARHGAP11B遺伝子に関する研究が進めば、脳障害に対する新しい種類の治療薬の開発につながると期待されます。
またARHGAP11B遺伝子を改変することで「品種改良された知恵の実」ができるようになるかもしれません。
しかしこの新たな「知恵の実」は自然な進化の結果でないので、食べたいという誘惑を断ち切れず、遺伝子を人工的に改変してしまえば、自らヒトを辞めることになります。
そこまでいかなくても、精神は変質し、元々のヒトとの間に決定的な差が生じるでしょう。
ヒトがヒトのままでいるためにも、倫理の再定義を進めなければならないかもしれませんね。
研究内容は日本とドイツの研究者の合同で行われ、マックス・プランク研究所のマイケルハイデ氏らによってまとめられ、6月18日に権威ある学術雑誌「Science」に掲載されました。
https://science.sciencemag.org/content/early/2020/06/17/science.abb2401/tab-figures-data
宇宙、素粒子、AI、遺伝子、歴史、心理学など、様々な角度から身近な「謎」を追求しています。
Nazologyについて
記事一覧へ