- トマトは地中の根っこを介して互いに電気信号を送り合っていた
- コンピューターモデルを用いたシミュレーションにより判明
- 地中に存在する「菌根菌」が電子回路の役割を果たしていた
植物の生体内には、さまざまな電気信号(=生体電位)が流れており、それを調べることで、植物が快適に感じる光の強さや光を当てるタイミングなどが分かります。
一方で、これは一植物内の話であり、植物間に適応できるかどうかは不明でした。
ところが今回、トマトを用いたコンピューターモデル研究により、植物は土壌内で互いに電気信号を送り合っていることが判明したのです。
植物たちは、地中で一体どんな会話をしているのでしょうか。
モデルを使ってシミュレーション
研究は、米・アラバマ大学ハンツヴィル校、電子・コンピューター工学科のユーリ・シュテッセル博士とオークウッド大学の生化学者アレクサンダー・ボルコフ博士により行われました。
シュテッセル氏は制御工学を専門とし、本研究ではコンピューターモデルの作成を担当しています。一方のボルコフ氏は、植物(および植物間)における電気信号の伝播の仕方に関する研究を行なっています。
両氏が初タッグを組んだのは2017年のことでした。
シュテッセル氏は「私たちは以前から、茎を通した植物内の電気信号と土壌を通した植物間の電気信号の伝播の仕方について議論していました。そこで今回、電気信号の伝播プロセスを正確に再現するコンピューターモデルの作成を提案したのです」と話します。
コンピューターモデルは、実際に植物を用いる実験よりも費用や時間を大幅に削減できますし、さまざまな条件でのシミュレーションが可能です。