バランサーは毒にも薬にもなる
今回の研究により、ミフェプリストンのバランサーとしての効果が、生殖にとっては害になるがハエや線虫の寿命を延ばすとわかりました。
多細胞動物が生殖を行うには、ホルモンバランスをはじめとして、自らのバランスを一時的に崩す必要があるからです。
現在、ヒトにおいて妊娠初期の中絶薬を長期にわたって服用し、寿命と比較する研究がおこなわれていないため、ミフェプリストンのバランサー効果がヒトの寿命にどのように作用するかはわかっていません。
しかし、今後ミフェプリストンの効果をマウスやサルなどヒトにより近い動物で検証することで、ヒトに対しても寿命延長効果があるのかわかるでしょう。
生涯、生殖能力を捨てる代わりに寿命を延ばす薬ができたとしても、それを使用して良いのかどうか悩ましい選択になりそうですね。
研究内容はアメリカ、南カリフォルニア大学のゲイリー・N・ランディス氏らによって7月10日に学術雑誌「The Journals of Gerontology: Series A」に掲載されました。
https://academic.oup.com/biomedgerontology/article-abstract/doi/10.1093/gerona/glaa164/5865319?redirectedFrom=fulltext
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