学校や職場などで、何かと首を突っ込み、アドバイスしてくる人に出くわすことがあるでしょう。
彼らは、話し合いや相談ごとに急に割り込んで、アドバイスを与えることに躍起になります。
そういう人を、心理コーチングの専門家であるマイケル・バンゲイ・スタニエ氏(53)は「アドバイス・モンスター」と形容します。
特に、職場のリーダー的立場にある人は、「積極的にアドバイスすることで自分の価値を示さなければ」と感じるものです。
その一方で、「アドバイスモンスターは、多かれ少なかれ、私たち全員の内に潜んでいる」とスタニエ氏は指摘します。
アドバイスをした経験は多くの人にあると思いますが、常に良い結果を生むとは限りません。不明瞭なアドバイスは相手を混乱させるだけですし、的確なアドバイスも(後述しますが)別のネガティブな問題を引き起こします。
では、アドバイスモンスターに乗っ取られるのを防ぎ、うまく飼いならすにはどうすれば良いのでしょうか。
なぜアドバイスしたくなる?原因は「認知バイアス」にあり
スタニエ氏によると、アドバイス・モンスターに乗っ取られやすい人は「認知バイアス」にかかっていることが多いそうです。
認知バイアスとは、思い込みや記憶の誤りなど、観察面で人が犯しやすい心理作用のことですが、ここでは、自身のアドバイスが実際より良いもの(あるいは、自分自身も実際より理知的で賢い)と思い込んでしまうことが挙げられます。
認知バイアスは、特別なものではなく、誰もが自分のスキルや能力を多少なりとも過大評価しています。
例えば、認知バイアスのひとつである「ダニング=クルーガー効果」は、自分の無知さに無知である状態を示します。そうすると、中途半端な知識に自信を持ったり、間違ったアドバイスを躊躇なく押し付けてしまうのです。
スタニエ氏は「アドバイスが正しいと自信があるほど、間違っている場合が多い」と指摘します。
その上で、自分の無知に気づいている人なら、アドバイスを求められた場合、「その問題について知識はあるが、とても複雑なので、一言では説明できない」という反応になるそうです。