- 米国の専門家からコロナウィルスの外出自粛の基準となるリスク指標が示された
- 感染リスクは空間密閉、接触時間、混雑度、呼気の勢いなどの要因で決まってくる
- 無頓着な店舗・企業も存在するため、人々がそれぞれ何がリスクになるか理解することが重要
コロナウィルスが怖いから不要不急の外出は控えよう、と考えている人は多いでしょう。
しかし、生活を続ける限り外出する用事は何かしら発生してしまいます。
そんなとき、どんな外出だったら安全なのでしょうか? もしくはどこへ出かけることは避けるべきなのでしょうか?
ほとんどの人はそうしたリスクを理解していると思いますが、あまり気にしていない人、怯えるあまり散歩なども避けてしまう人もいるでしょう。
散発的な情報を見ているだけだと、どうにもリスク管理は曖昧になってしまいます。
そこで、米国の公衆衛生の専門家たちがパンデミック中の活動について、危険度の指標となるチャートを作成しました。
ある程度の基準が示されれば、これまでより安心して行動できるようになるでしょう。
基準がない不安
「レストランでの食事は平気なの?」「テニスならやってもいいの?」「ゴルフは?」
米国アリゾナの疫学者Saskia Popescu氏は、知り合いから頻繁にそんな質問を受けるようになり、人々がウィルス禍の状況で、リスクを理解するのに苦労していることを知りました。
密になるのは良くない、と多くの人々は理解していますが、じゃあ公園を散歩するのはいいのか? とか屋外のレストランならいいのか? と個別に考え出すとよくわからなくなってきます。
営業を再開した店舗や企業の多くは、リスクを理解して対策を講じているはずです。しかし、すべての企業や店舗がコロナウィルスのリスクに対して注意深いわけではありません。
そこで彼女は、ジョージ・ワシントン大学のJames Phillips博士、ペンシルベニア大学のEzekiel Emanuel博士とともにコロナウィルスのリスクをもっとも安全な濃い緑から、非常に危険な赤色までランク分けしたチャートを作成しました。
「現時点でリスクが0になるものはなにもありません」と彼女はいいます。現状で可能なことは、できる限りリスクを減らす努力をすることだけなのです。
コロナウィルス感染のリスクは主に4つの要因から決定されます。
それは空間の密閉度、人との接触時間、場の混雑状況、呼気の強さです。呼気に関しては歌ったり、大声を上げる状況だとリスクが高まります。
こうしたチャートを見ると、例えば公共交通機関の利用は、もっとも危険度の高い赤色に分類されているのが分かります。
バスや電車の車内は、長時間に渡って密接に人と接触する可能性の高い閉鎖スペースであり、また人が強く触っていた表面(ドア、椅子、手すりなど)に接触する機会が多くなるからでしょう。
もちろん、公共交通機関を提供する企業などが適切な予防策を講じていれば、そのリスクは低減できます。
バス旅行でも、旅行会社が適切な対策をしていれば、よりリスクの少ないカテゴリに分類できるでしょう。
重要なのは、それをわたし達も判断できるようになることだと研究者は語ります。
空気循環が良く、屋内や人混みの時間を最小限に抑え、衛生状態が保たれているか、わたし達自身がリスクを理解して、リスク回避に無頓着なサービスを避けられるようにならなければなりません。