脂肪のないハチドリは恒温のままでは夜の寒さを生き残れない
ハチドリは羽を高速で動かしてホバリングする能力を得た代償として、心臓は1秒間に20回も拍動し、日中の体温は40℃にも達します。
そのため起きている間は常に高カロリーの花の蜜を吸い続ける必要があるのです。
夜の気温が氷点下まで下がる環境では、このエネルギーの消費の多さを保ったまま生き残るのは不可能。しかし脂肪の量を増やしてエネルギーをため込む道もとれません。
なぜなら日中、常にホバリングしなければならないハチドリにとって、重りとなる脂肪をつけたまま生きることができないからです。
そのためアンデス山脈のハチドリたちは、別の方向に進化しました。
夜になるたびにミニ冬眠をして、休眠状態になることで、エネルギーの消費を抑える戦術を採用したのです。
毎晩冬眠する能力が知られているのは一部の小型のげっ歯類などの限られた種だけとのこと。
これまでの研究により、アンデスのハチドリは夜になると体温を17℃まで下げると共に、心臓の鼓動数を1秒間に約0.67回まで落とすことができると報告されていました。
しかし、ニューメキシコ大学のウルフ氏は、17℃は高すぎると考え、より詳細な調査を行うことにしました。