ワニの発声メカニズムの謎
ワニは爬虫類の中でもっとも大きい鳴き声を出す生物です。
特に交尾の時期になると、ワニは非常に大きな鳴き声をあげますが、この発声メカニズムについてはよくわかっていません。
ワニは求愛行動や縄張り行動には、体の大きさが強く影響します。例えばワニのメスは自分より体の小さいオスの求愛をお断りします。
そのためワニの鳴き声は、自分の体の大きさを示す意味も含まれていると考えられるのです。
哺乳類や鳥類は、声帯で音波を発生させ、声道で共鳴させることで増幅し「声」を生成します。この方法はフォルマントという周波数帯のバランスで音色を特徴づけていて、体の大きさなども正確に伝えています。
知られている限りでは、爬虫類にフォルマントが記録されていたことはなく、カエルなどの両生類の鳴き声にもフォルマントは関連していません。
つまり、ワニは大きな鳴き声を出すけれど、声帯や声道の共鳴を使って、哺乳類や鳥類と同じように鳴いているのか、そうでないのかよくわからないのです。