ペンギンたちの故郷は失われた大陸
エサの変化など、化石から得られた情報を分析した結果、エウディプテス・アタトゥはすべてのペンギンたちの祖先から進化した1種である可能性が出てきました。
ニュージーランドにはペンギンの他にも80種以上の海鳥が生息していますが、そのうちの3分の1はこの地域固有の種です。
ニュージーランドがこれほど海鳥の多様な地域になっている理由や、多様なペンギンの種が発生している土地になっていた可能性については、かつてこの地に存在していた大陸ジーランディアが重要な関連を持つと考えられます。
オーストラリアの東、ニュージーランド周辺にはかつて「ジーランディア」と呼ばれる8番目の大陸が存在していたと報告されています。
この大陸はゴンドワナ大陸から分裂した陸地でしたが、太平洋プレートの移動が影響して5000万年近い時間をかけてゆっくりと沈下していき、約2400万年前に海底へ姿を消したと考えられています。
ニュージーランドはそのとき残された陸地の一部です。
エウディプテス・アタトゥはジーランディアが沈んでから、数千万年もの間、ニュージーランドに住んでいました。
しかし、その進化の枝分かれは6000万年前までさかのぼると考えられます。
さらにこの古代の祖先は先史時代の「メガペンギン」だった可能性があるとのこと。
メガペンギンは2017年に発見が報告された、体長が170cm以上、体重は100kgもあったとされる巨大な古代のペンギンです。
このメガペンギンは、オーストラリアの半分近い面積を持ったジーランディアに生息していて、エウディプテス・アタトゥもそこから枝分かれした可能性があるのです。
そしてジーランディアが沈没したために、ここから派生した多くの多様なペンギンたちは南半球全体へ散らばっていきました。
もちろんここまでの推定は、まだ明確な証拠があるわけではありません。しかし、エウディプテス・アタトゥの化石は、ニュージーランドが海鳥の多様な宝庫である原因や、古代の大陸について探る重要な手がかりである可能性が高いと研究者たちは考えています。
それは今後の化石の継続調査から、さらに明らかになるでしょう。
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