がか座β星系。実際の観測に基づいた画像(左)。アーティストによるイメージ画(中央)。星系の軌道(右)。
がか座β星系。実際の観測に基づいた画像(左)。アーティストによるイメージ画(中央)。星系の軌道(右)。 / Credit: GRAVITY Collaboration / Axel M. Quetz, MPIA Graphics Department
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“63光年離れた系外惑星”の撮影に成功! 直接光らない惑星の明るさから、誕生のナゾに迫る

2020.10.18 Sunday

観測技術の向上によって、太陽系以外の惑星の探索や観測の報告が多くなってきました。

しかし、直接輝くことのない惑星を太陽系以外から探し出し、詳しいデータを得るのはかなり困難なことです。

特に系外惑星の直接撮影は非常に難しい観測ですが、10月2日の科学誌『Astronomy & Astrophysicsに2本の論文で発表された研究他論文へのリンクはこちら)は、新たに直接撮影に成功した系外惑星を報告しています。

系外惑星の直接撮影は、惑星の明るさの測定を可能にし、そこから形成原因に関わる新しい証拠を見つけ出せるかもしれません。

Max Planck Institutes for Astronomy http://www.mpia.de/news/science/2020-15-beta-pictoris ,

新たに見つかった系外惑星「がか座β星c」

がか座β星系の惑星イメージ。
がか座β星系の惑星イメージ。 / Credit:Wikipedia

今回観測されたのは地球から約63光年離れたがか座(画架座)β星系の惑星です。

ここには2008年に「がか座β星b」という惑星が直接撮影によって発見されています。これは木星の13倍(地球の3000倍以上)の質量を持った巨大ガス惑星でした。

このサイズの惑星は、主星に重力的な影響を与え、位置をぐらつかせます。そこでフランス・グルノーブル天文台の研究者アンヌ=マリー・ラグランジェ博士は、「がか座β星」が受けている重力的な影響を過去16年間の観測データから調査しました

すると、そのデータからは「がか座β星b」以外の影響があることに気が付いたのです。そして昨年ラグランジェ博士の研究チームは、そこから新たな系外惑星「がか座β星c」を発見したと発表しました

先に発見されていた兄弟惑星「がか座β星b」は、直接撮影に成功している数少ない系外惑星の1つです。これは「がか座β星c」も貴重な直接撮影が可能な系外惑星だと期待できます。

現在発見されている系外惑星は4300を超えますが、そのうち質量推定が可能なものは20%程度であり、直接撮影に成功したものは約1%しかありません

こうして「がか座β星c」の直接撮影という研究が進められ、今回その直接撮影が実現したのです。

この観測には、ヨーロッパ南天天文台(通称: ESO)がチリに建設した超大型望遠鏡干渉計の第2世代観測機器「GRAVITY」が使用されました。

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