タコ足は「味覚」によって対象を識別していた
また、走化性受容体は、触れるものによって異なる反応を示しました。
例えば、タコが好物とするカニや小魚に接すると、一部の走化性受容体が強く活性化することが分かっています。
さらに、タコが捕食する生物の中には、防御や警告のシグナルとして水に溶けにくい「テルペノイド」という化学物質を産生するものがいます。タコはこうした分子に反応して、有害なエサを避けるようにしていたのです。
ベローノ氏は「タコの走化性受容体は、さまざまな風味のする分子を味覚することで、好物の味や不快な味、あるいは危険な味などを見極めているのでしょう。この働きにより、タコの足は半自律的な器官として、外部情報を処理し、複雑な行動を作り出していたのです」と指摘します。
研究チームは今後、走化性受容体が他の多くの天然化合物に反応できる可能性があることから、調査を継続する予定です。
タコの足の情報処理能力をより深く理解することで、全ニューロンの3分の2が足に集約している理由も説明できると見られます。
それは単なる8本の足に過ぎませんが、「考える足」なのかもしれません。