マルチタスクに潜むリスクを瞳孔と脳波で測定する
テレビを見ながらネットの動画を同時に流し見しつつ、好きな音楽を聴き、別PCで会社の同僚にメールを送り、さらに同時に耳と肩で携帯電話を挟んで友達と楽しく会話をする…。
マルチタスクを極めた人ならば、いくつもの作業を並行して進められ、仕事しながら遊び、遊びながら仕事が可能かもしれません。
しかし、今回の研究結果は、そのような重度のマルチタスクに従事する人間は、重い代償を支払わなければならないことが判明しました。
研究者たちは18歳から26歳の80人の参加者に対して画面に映る画像を記憶してもらうテストを行うと同時に、参加者の瞳孔の大きさと脳波を測定しました。
瞳孔の大きさと脳波は、物事に対して注意が向けられ記憶が行われる最中に大きく変化することが知られています。
与えられた課題に対して参加者が十分な注意と記憶力を働かせているとき、目はより情報を積極的に取り込もうと瞳孔を広げ、脳波はリラックスモードから覚醒モードへと移行します。
逆に、瞳孔の収縮とリラックスモードの脳波であるアルファ波が発せられている時、人間は課題に対して注意力散漫になり、反応速度の低下が起こることが知られていました。
またテストに前後して、参加者には日頃の業務におけるマルチタスクの強度について答えてもらいました。
もし日頃のマルチタスクが記憶力や注意力に影響を与えなければ、実験結果にはマルチタスクの有無にかかわらず優位な差は生まれないはずです。