環境やライフスタイルには影響されない免疫系の変化
この発見において重要な点は、免疫系に見られる変動が被験者のライフスタイルや環境などの要因、ビタミンDレベルなどと関連していなかったことです。
この変動で疑われるのは体内時計との連動だといいますが、こうした報告は、何も今回が初めというわけではありません。
インペリアル・カレッジ・ロンドンでは、マウスを使った実験で、免疫が生物の活動時間と連動して機能している可能性を発見しています。
この実験では、マウスが活動する朝の時間帯に白血球がリンパ節に集まっている様子が観察されたといいます。
リンパ節の白血球はウイルスに対する免疫反応の鍵となっており、こうした事実はマウスがどの時間帯にウイルスの攻撃を受けたかによって、数日後の免疫反応に大きく影響を及ぼしているといいます。
また、バーミンガム大学で2016年に科学雑誌『Vaccine』で発表された研究では、季節性インフルエンザワクチンを午後に投与するより、朝に投与した場合の方が効果的な免疫反応を示すことが報告されています。
英国のMRC分子生物学研究所のジョン・オニール博士は2017年に科学雑誌『Science Translational Medicine』で発表した研究において、マウスは概日の休息期間中(夜寝ている時間)に受けた怪我より、活動期間中(昼の起きている時間)に受けた傷のほうが治りが速いことを報告しています。