なぜ時間帯によって免疫系の力が変化するのか?
ワイズ博士によれば、「これらの結果のもっとも単純な解釈は、日中の活動時間がもっとも病原体に接触する可能性の高い時間であるためだ」と述べています。時間を制限して活発に活動することは、病原体と戦う中で免疫系が獲得した進化だと考えられるのです。
この考えに従えば、生物の活動が制限される夜間や冬季は、免疫系が弱まる可能性が高くなります。まるで24時間店舗のシフトのように、仕事がそこまで増えそうにない時間は、免疫系もワンオペになるのかもしれません。
冬に病気が流行するのは、かつての生物と異なり、人間は冬でも活動的であり、病原体に暴露される機会が夏と変わらないからという可能性があるようです。
もしこうした予測が事実ならば、免疫系の弱まる時間帯や季節の活動を制限し、免疫系の強まるタイミングでワクチンなどを利用すれば、危険な病原体を効率的に駆除できるかもしれません。
ただ、注意しなければならないのは、この研究がまだ審査を通っていない途上の研究であるということです。研究者のワイズ博士も現在示されている結果に過度の解釈はしないよう警告しています。
しかし、事実がどうあれ、冬に病気が流行りやすいことは私たちもよく理解していることです。Covid-19の有効なワクチンも開発されていない以上、当分は慎重さが求められるのは仕方のないでしょう。