ブラックホールを囲む塵の構造を理解できるかもしれない
研究チームは、この珍しい宇宙の薄明光線が観測された理由を、上の画像のようにブラックホールとその降着円盤が、銀河面に対してい傾いていたためではないかと考えています。
通常ブラックホールの円盤は、銀河面に対して水平に存在しています。そのため上下に伸びる放射は何にも遮られることのないプラズマジェットのみで、今回のような影の光線は生じません。
これは通常見ることが不可能なブラックホール周辺の降着円盤の構造を間接的に調べる、またとないチャンスかもしれないのです。ブラックホール周辺の塵の構造を理解することは、超巨大質量ブラックホールの振る舞いやその周辺の環境を知る上で重要です。
今回の発見は、ブラックホールの降着円盤が思っていたより非常に薄い可能性を示していると研究チームは語っています。
「薄明光線を生じさせるということは、夕暮れのまばらな雲のように、ほとんどどこからでも光を透過させる大きな隙間が生じているということです。
この隙間は、ブラックホールの重力と回転によって円盤が歪むことで引き起こされている可能性があります。円盤が回れば、それは銀河の中を霧に沈んだ灯台のように照らすかもしれません」マクシム氏はそのように説明しています。
また影の光線が3万6千光年も真っ直ぐに伸びているということは、光を遮る塵の構造は少なくとも3万6千年の間まったく変化していないことを示しています。
まだ、この暗い筋が本当に宇宙の薄明光線なのか明らかではありません。しかし、その可能性はかなり高いでしょう。
今後、研究チームはこの可能性を明らかにするべく研究を進めていくと話しています。