犬の磁場センサーは「帰巣能力」のため
犬は、トイレや寝る前にからだをぐるぐる回転させて、何かを確かめています。
これは体内に内蔵されたGPSのような機能を使って、磁場を検出しているのです。
スマホのコンパスアプリを使うとき、最初は方角が安定しなくても、ぐるぐる回転させれば安定するのと同じようなものでしょう。
犬が磁場を読む理由は「帰巣能力」のためです。
チェコ大学のある実験によると、犬は帰巣するとき、来た道と別の道を探して帰る「スカウティング」をよく使うことがわかっています。
これと反対に、来た道を覚えて引き返す方法が「トラッキング」です。私たち人間はこちらのタイプでしょう。
犬はスカウティングで帰り道を探す前に、まず南北方向に20メートルほど走ります(専門用語でコンパスランという)。
これは磁場をもとに帰巣する生物によく見られる行動です。
ここから犬は、コンパスランによって一度混乱した磁場センサーを修正しなおし、帰りのルートを検出していると考えられます。
しかし、排泄をする際に南北を向く理由はまだ解明されていません。
南北のラインが生理的に快適なのかもしれませんし、なわばりを主張するマーキングに役立つのかもしれません。
犬の他にも、渡り鳥やミツバチ、ウシ、シカ、クジラ、ウミガメなど、磁場センサーを持つ生物がたくさんいます。
グーグルマップを使わなくても、常に正しい目的にたどり着けるなんてスゴいですね。