遠い星系の「プラネット・ナイン」
「プラネット・ナイン」とは、準惑星冥王星のはるか外側にあると考えられている太陽系の9番目の惑星のことです。
まだその姿は見つかっていませんが、太陽系外縁を回る小惑星が受けている重力的な影響を考えた場合、地球の10倍近い質量を持った巨大な惑星が、太陽から平均約700AU(天文単位)の距離を回っていると考えられているのです。
本当にそんな惑星が存在するのか? あるとしたらどうやって形成されたのか? そうした疑問は長く議論されています。
そんな中、別の星系でこのプラネット・ナインによく似た惑星が見つかったのです。
それが太陽から336光年離れた二重連星系に属する太陽系外惑星「HD 106906 b」でした。
この惑星は2013年にチリのアタカマ砂漠にあるラス・カンパナス天文台で発見されました。質量は木星の11倍もあり、その位置は主星の連星から730AU、すなわち地球と太陽の距離の730倍以上も離れていたのです。
発見当時、この惑星がどんな軌道を回っているのかはさっぱり不明でした。
しかし、ハッブル宇宙望遠鏡がこの惑星を辛抱強く観測し、その軌道を特定したのです。
それは太陽系のプラネット・ナインで予想されている軌道とよく似たものでした。