身体の渇きが脂肪を作っている
今回の研究は、脱水状態が脂肪の形成を刺激している可能性を示しています。
これはバソプレッシンが、簡単に水を摂取できない砂漠の哺乳類で非常に高い理由を説明しています。
ラクダのコブには、脂肪として水が保存されているという話しを聞くことがありますが、このような水を脂肪に変える働きをバソプレッシンが行っているというのです。
肥満の人は、しばしば脱水症状を示すことが医療の観察からわかっています。また塩分濃度の高い食事が肥満や糖尿病を引き起こす可能性も指摘されています。
これらもみな体内の水分レベルが、肥満、糖尿病と関連していることを示しています。
そこでチームは、マウスに水を十分に補給される水治療法を試してみました。
するとメタボリックシンドロームから効果的にマウスを保護することができたのです。
「バソプレッシンをブロックする最良の方法は水を飲むことです」とラナスパ博士は述べています。
これは複合的な要因を含んでいるでしょうが、砂糖(特に果糖)の摂取がバソプレッシンを活性化させ、バソプレッシンは体内の水分を貯蔵するために脂肪生成を促進させます。
バソプレッシンは特に体内の水分レベル維持のために働いているので、脱水状態はバソプレッシンをさらに活性化させます。
つまり、十分な水の摂取がバソプレッシンを抑制し、肥満やメタボリックシンドロームの予防と治療両方に効果的だと考えられるのです。
「今後は、肥満やメタボリックシンドロームの治療のために、水分の十分な補給と、糖類や塩分摂取を控えることがいかに役立つかを検討していく必要があるでしょう」と研究チームは語っています。
生活を脅かす病気の解決に、すぐに試せるような簡単な方法が発見されるというのは嬉しいニュースです。
まだマウスの実験だけで、人間向けの具体的なデータはわかっていませんが、このことを意識して生活してみるのも良いかもしれません。