巨大な淡水湖だった北極海
地球は氷河期に入ると氷床が成長することで海面は下がっていきます。
この海面が低い時代、北極海は太平洋、大西洋と繋がるポイントが非常に限られていて、グリーンランド、アイスランド、北ヨーロッパ、シベリアがまるでボウルの縁のように機能していました。
さらに、厚さ900メートルを超える2つの巨大な氷床が北極海を封鎖していたのです。
1つはアイルランド、スコットランドからスカンジナビア半島を経由しロシア北部のカラ海まで、5000キロメートル以上を覆い、もう1つの氷床は、現在のカナダ、アラスカから、グリーンランドとベーリング海を覆っていました。
これによって、氷河期の特に寒い時期、北極海は完全に閉じた海となっていたのです。
今回発表された研究によると、北極海は過去15万年間に少なくとも2回、7万~6万年前と15万~13万年前に、この完全な隔離状態になっていたというのです。
このとき北極海は、大陸から大量に流れ込む淡水によって、計算上約8000年で、ほぼ淡水の状態に変わっていた可能性があるのです。