「鉛筆が曲がるのはなぜ?」ポメランツ理論から解説
これまでに解説してきた視覚システムから分かるように、鉛筆を上下に揺らしたときに私たちが知覚する映像は、実際の映像ではありません。
アメリカ・ライス大学で視覚を研究している認知心理学者ジム・ポメランツ氏によると、それは「要約を伝えている」とのこと。
彼は1983年にラバーペンシル錯覚に対する最初の研究を発表。そこでは32種類の鉛筆の振りパターンがシミュレーションされました。
その論文では、シミュレーションの16番目にあたる「鉛筆の先端近くを持って揺らす」方法が鉛筆をゴムのように柔らかく見せると判明。これは人間の毎秒フレーム数にあったものであり、他の動物では見え方が異なります。
そしてこの方法で鉛筆を上下するとき、鉛筆の振れる速度は一定ではなくなります。
鉛筆の端が下がりきった瞬間、または上がりきった瞬間では運動の切り替えが起こり低速になるのです。
そのため振れ幅いっぱいの位置にある鉛筆は鮮明な画像として取得され、それ以外の部分ではぼやけた画像として取得。
結果としてそれらの画像を脳が要約したときに曲がって見えるというのです。