名前を4回聞いただけで記憶に成功
研究チームは、高度に訓練された2匹の犬、ボーダーコリーの「ウイスキー」と、ヨークシャーテリアの「ビッキー・ニーナ」を対象に実験しました。
ウイスキーは59個のモノの名前を覚えており、ビッキー・ニーナは42個のオモチャを記憶しています。
2匹には最初に、指定したオモチャを持ってこれる能力があるかを確かめられました。
与えられる情報はオモチャの名前だけであり、飼い主と実験者は、目線や身ぶりがヒントとならないようオモチャが見えない位置にいます。
2匹ともにすべてのオモチャの名前を知っていることが確認できた後、実験者は、2つの新しいオモチャを追加し、それを持ってくるよう指示しました。
このテストで、ウイスキーはほぼ100%の確率で、ビッキー・ニーナは52.5%の確率で指定されたオモチャを選ぶことに成功しています。
しかし、この結果は(とくにウイスキーは)、知らない名前のオモチャを見たことのないモノに当てはめた「消去法」で選んでいると考えられました。
そこで次のテストでは、選択できるオモチャをすべて知らないモノに変えました。
飼い主はまず、指定したオモチャを犬に見せて、それで遊ぶことを許可します。
そして、オモチャの名前を4回コールした後、それを取ってくるように指示しました。
その結果、2匹ともに高い確率で指定したオモチャを選ぶことに成功したのです。
これは犬がモノの名前を覚えるスピードが予想以上に早いことを示します。
ところが、2匹ともに名前を覚えてから10分後に記憶力が著しく低下し始め、1時間後には完全に忘れていたのです。
名前を保持するには、学習を繰り返して記憶を強くする必要がありました。
一方で、同様のテストをボランティアで募った一般の犬20匹にも実施したところ、どの犬も新しいオモチャの名前を覚られませんでした。
研究チームは、この学習能力の差について、先の2匹はあらかじめ高度に訓練されていたことに加え、名前を覚えやすい(学習に向いた)犬種があることを指摘します。
では、どの犬種が学習に向いているのでしょうか。