一部の人間は、遺伝子変異によって寒さに強くなっていた
新しい研究では、18~40歳までの健康な男性41人に、体温が35.5℃に下がるまで最大120分間、冷水(14℃)の中で座っているよう依頼しました。
その間、筋電図によって参加者の筋肉活動を測定しています。
研究の結果、ACTN3遺伝子が変異している参加者の69%が冷水にさらされた後も、体温を35.5℃以上に保つことができました。
対して、変異していないACTN3遺伝子をもつ参加者の中で体温を35.5℃以上に維持できたのは30%だけでした。
ACTN3遺伝子が変異している人は、体温維持に優れていたのです。
これは速筋繊維のエネルギー効率が関係していると考えられます。
α-アクチニン3タンパク質をもつ人は、爆発的な筋収縮によって体温を上昇させますが、その分エネルギー効率も悪くなります。
対して遺伝子変異によりα-アクチニン3タンパク質が無い人は、爆発的な筋肉収縮も少ないため、わずかなエネルギーで無駄なく体温を維持できるのです。
ウェスタ―ブラッド氏によると、「α-アクチニン3タンパク質が不足している人は、寒いときでも震えません。代わりに、筋肉の緊張を高めることでエネルギーを節約します」とのこと。
加えて今回の結果から「寒い地域での生活に対応するために、人々のACTN3遺伝子が変異したのかもしれない」と考えています。
5人に1人が遺伝子変異をもつため、私たちの身近にも遺伝子レベルで寒さに強い人がいるかもしれません。もしかしたら、自分が該当している可能性もあるでしょう。