パラシュートに隠された暗号
火星へ降下する探査機パーサヴィアランスが開いたパラシュートを見て、なんだか変わった模様だなと思った人がいるかもしれません。
その人はかなり勘が鋭いといって良いでしょう。
実はこの模様には、NASAのチームがある暗号を隠していたのです。
海外電子掲示板RedditとTwitterのユーザーは、パラシュートの画像公開から数時間でここに何らかのコードが隠されていることに気づきました。
そして、赤と白の線がバイナリーコードになっているということに気がついたのです。
バイナリーコードとは、0と1を組み合わせた(2進数)機械が使う言葉です。
さらにユーザーたちは、この2進数が1から始まるアルファベットの位置を示していることに気づき、わずか6時間で、パラシュートに隠されたメッセージを明らかにしたのです。
これらをつなぎ合わせて現れたメッセージは「Dare Mighty Things(あえて強大なもの)」です。
これはセオドア・ルーズベルト大統領が1899年の演説で述べた「たとえ失敗に阻まれようとも、あえて強大なものに挑戦する方がはるかに良い」という言葉の一節です。
この言葉は、NASAのジェット推進研究所の標語になっていて、研究所の壁にもこの一文は大きく描かれています。
着陸ミッションの主任エンジニアであるアレン・チェン氏も月曜日の記者会見で、この言葉を引用していました。
また彼は「私たちはときどき誰かが見つけてくれることを期待して、メッセージを残すことがあるので探してみてください」と、秘密のメッセージがどこかに存在することも示唆していました。
しかし、まさか6時間で秘密の暗号が発見されて解読されてしまうとは、NASAの職員の多くは想定していなかったようです。
NASAジェット推進研究所のエンジニア、アダム・シュテルツナー氏は暗号が解読されたことを受けて、暗号の答えとともに驚きの声をツイートをしています。
It looks like the internet has cracked the code in something like 6 hours! Oh internet is there anything you can’t do? For those who just want to know: #Mars2020 #CountdownToMars pic.twitter.com/yTJCEnbuLY
— Adam Steltzner (@steltzner) February 23, 2021
「インターネットが6時間でコードを解読したようだ! ああ、インターネット、君にできないことはあるのか?」
ちなみに一番外側のリングは、同じ方法で解読すると意味をなさないためユーザーたちを困らせていましたが、あるユーザーがこれは座標であると気づきました。
「34°11’58” N by 118°10’31” W(北緯34度11分58秒×西経118度10分31秒)」これはNASAジェット推進研究所カリフォルニア本部の場所を示す座標です。
インターネットに集う叡智は、やはり侮れないものがあります。
なお、火星探査機はパーサヴィアランスは順調に稼働していて、ミッション開始3日目の2月21日には自身の周囲360度を撮影したパノラマ画像を地球に送信しています。
これはパーサヴィアランスの搭載したカメラ「Mastcam-Z」で撮影された142枚の写真を地球でつなぎ合わせて作られたもので、非常に高い解像度を持っています。
この写真は、ここまで拡大できるのだとか。
遊び心も満載なパーサヴィアランスのミッションは、これからが本番です。彼のもたらす新たな情報が楽しみですね。