個々が自発的に動く集合体「アクティブマター」
個々が自発的に動く集合体「アクティブマター」 / Credit:Depositphotos
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物理法則に従わない「新たな粒子」が発見される

2021.03.07 Sunday

私たちが知っている物質のほとんどは、物理法則に従っています。

例えばある物質に強い力を加えると物質の加速度は増加します。また物質の質量が増加するなら加速度は減少するでしょう。

しかし、ロシア・スコルコヴォ科学技術大学数学科に所属するニコライ・ブリリアントフ氏ら研究チームは、コンピュータ・シミュレーションの中で、物理法則を無視する「渦巻状」の集合物質を発見しました。

詳細は、2020年10月8日付の科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。

Meet the swirlon, a new kind of matter that bends the laws of physics https://www.space.com/swirlonic-matter-unusual-behavor.html
Swirlonic state of active matter https://www.nature.com/articles/s41598-020-73824-4?utm_medium=affiliate&utm_source=commission_junction&utm_campaign=3_nsn6445_deeplink_PID100052171&utm_content=deeplink

活動する集合体「アクティブマター」

水族館に行ったり、自然を観察したりすると、魚や鳥、また昆虫の群れが、1つの大きな生き物または物体のように移動するのを観察できます。

それぞれの個体が自発的に動いているのに、全体として1つの物体のように振る舞うのです。

この集合体は「アクティブマター(英訳:active matter)」と呼ばれており、これらには共通するメカニズムや秩序があると考えられています。

鳥のアクティブマター
鳥のアクティブマター / Credit: John Holmes / wikipedia

アクティブマターの概念を理解するには、通常の物質と比較すると分かりやすいかもしれません。

通常の物質は小さな粒子が集まってできています。

例えば、は複数の原子や分子が集合してできたものですが、物質として物理法則に従っています。

では、その粒子1つ1つが受動的ではなく能動的、つまり自ら動く場合、その集合体や個々の粒子は何らかの規則に従うのでしょうか?

またその集合体は物質と言えるのでしょうか?

科学者たちは、それら自己駆動粒子の集団を「アクティブ(活動的な)マター(物質)」つまり、ある種の物質と捉えています。

そして私たちも知るとおり、それら粒子は無秩序に運動するのではなく、相互作用によって規則的な動きをします。

実際、鳥や魚などの生物、また非生物の「ヤヌス粒子」はアクティブマターとして観察されます。

ブリリアントフ氏も、「世界に存在する物質の多くはアクティブマターであり、自主的に動いている」と述べています。

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