活動する集合体「アクティブマター」
水族館に行ったり、自然を観察したりすると、魚や鳥、また昆虫の群れが、1つの大きな生き物または物体のように移動するのを観察できます。
それぞれの個体が自発的に動いているのに、全体として1つの物体のように振る舞うのです。
この集合体は「アクティブマター(英訳:active matter)」と呼ばれており、これらには共通するメカニズムや秩序があると考えられています。
アクティブマターの概念を理解するには、通常の物質と比較すると分かりやすいかもしれません。
通常の物質は小さな粒子が集まってできています。
例えば、氷は複数の原子や分子が集合してできたものですが、物質として物理法則に従っています。
では、その粒子1つ1つが受動的ではなく能動的、つまり自ら動く場合、その集合体や個々の粒子は何らかの規則に従うのでしょうか?
またその集合体は物質と言えるのでしょうか?
科学者たちは、それら自己駆動粒子の集団を「アクティブ(活動的な)マター(物質)」つまり、ある種の物質と捉えています。
そして私たちも知るとおり、それら粒子は無秩序に運動するのではなく、相互作用によって規則的な動きをします。
実際、鳥や魚などの生物、また非生物の「ヤヌス粒子」はアクティブマターとして観察されます。
ブリリアントフ氏も、「世界に存在する物質の多くはアクティブマターであり、自主的に動いている」と述べています。