フェルミ推定で世界中のコロナウイルスの総体積を計算する
コロナウイルスの直径は推定80~120nm(ナノメートル)です。これは人間の髪の毛の約1000分の1程度です。
数字で言われても今ひとつピンと来ませんが、このサイズは通常の顕微鏡では見ることすらできない大きさです。
そのためウイルスを見るためには、電子顕微鏡を使わなければなりません。
これに関連した有名なエピソードが千円札に描かれている野口英世です。
彼は、黄熱病の研究中に自らも罹患してしまい、「私にはわからない」という最後の言葉を残して亡くなりました。
実は黄熱病は黄熱ウイルスが原因で発症します。しかし、野口英世の時代に電子顕微鏡がなかったため、いくら頑張っても黄熱病の原因を見つけることはできなかったのです。
つまりそれくらいウイルスは小さい存在なのです。
では、その小さなウイルスの体積を計算してみましょう。
コロナウイルスは球形をしています。球の体積は公式「V =4πr³/ 3」で導くことができます。
ウイルスの半径を50nmと仮定して計算した場合、ウイルス1つの体積は52万3000立方ナノメートルとなります。
では、この体積を20京あるウイルスに当てはめてみましょう。
その総体積は、なんとたったの120mlです。
ただ、球形のものを一箇所に集めた場合、必ず球同士の間に隙間ができてしまいます。
これは球充填と呼ばれる問題で、球形のものを積み上げた場合の最大充填密度は(π/3√2)という式で計算できます。
この答えは約0.74です。つまりどんなにうまく押し込めても、球形のウイルスを集めた場合、その体積の26%は隙間になってしまうということです。
これを考慮した場合、世界の全コロナウイルスを一カ所に集めた総体積は160mlとなります。
現在売られているコカ・コーラの缶は350mlが標準なので、世界中で人類を悩ませているコロナウイルスはすべて集めるとコーラの缶半分未満の量になってしまうのです。
もちろんこれは完全な答えではありません。いくつかの簡単な仮定を元に推定されたもので、変動する可能性はあります。
しかし、さすがにたったこれぽっちのものに世界中が混乱して、苦しめられているというのはなんともショックな話です。
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